相続した土地の売却は3年以内に~支払った相続税を土地の取得費に算入~

相続した土地を売却することはよくあることです。

土地を持っていると固定資産税もかかりますし、まとまった現金が必要で売却する場合もあるでしょう。

しかし、土地を売るとその売却益に対して「所得税」と「住民税」が課税されます。

高額の相続税を支払ったにもかかわらず、さらに税金が課されるのです。

このページでは税法上の特例を用い、相続した土地をできるだけ早く売却することで「所得税」と「住民税」を低く抑える方法について解説したいと思います。

土地を売却したときに課税される税金の計算方法

本来、土地を売ったしたときに課される税金は「売却益」に税率をかけて計算されます。

つまり、土地を売った値段(売却価格)と買った値段(取得費)の差が問題となるのです。具体的には以下のように計算されます。

土地を売却した時の税金計算方法
【土地の売却価格 - (土地の取得費 + 譲渡費用 )】×  税率 

◇譲渡費用は仲介手数料や測量費等をいいます
◇税率:売却時点で5年超保有している土地 ⇒ 所得税率15% , 住民税率5%
◇税率:売却時点で5年以下しか保有していない土地 ⇒ 所得税率30% , 住民税率9%

⇒30年前に2,000万円で買った土地を5,000万円で売り、100万円の手数料を支払った場合

所得税:【5,000万円 - (2,000万円 + 100万円 )】×  15% =435万円
住民税:【5,000万円 - (2,000万円 + 100万円 )】×  5% =145万円

では、相続した土地の場合「土地の取得費」はいくらになるのでしょう?

先祖代々の土地など、いくらで買ったかなんてわかりませんよね?

相続した土地を売却したときに課税される税金の計算方法

土地を相続した場合、その土地を「いくらで買ったのか(取得費)」かが判明しない場合が多々あります。

その場合、土地の取得費は売却価格の5%を適用することになります。

「え、5%!?低いーーー!!」と思うことでしょう。

その通りです。上の例のようにたとえば5,000万円で売れた土地ならばたったの250万円(5,000万円 × 5%)で買ったとして計算されるため、かなり高い税金がかかってしまいます。諸経費が100万円だと仮定すると

所得税:【5,000万円 - (250万円 + 100万円 )】×  15% =697.5万円
住民税:【5,000万円 - (250万円 + 100万円 )】×  5% =232.5万円
合計930万円もの税金がかかってしまうのです。(さっきの2倍近くになりましたね。。。)

そこで、相続した土地を申告期限後3年以内に売った場合に限り、その土地を相続したことにより支払った相続税を、取得費に加算することができる税法上の特例が存在します。

3年以内に売却すれば支払った相続税を取得費に加算できる

相続した土地を相続税の申告期限後3年以内に売却すれば、支払った相続税の一部を取得費に加算することができます。(相続税の申告期限は10カ月なので、売却の期限は死亡時から3年10カ月以内となります。)

たとえば上の例で、5,000万円で売却した土地に対する相続税を1,500万円支払っていた場合、諸経費は100万円だとすると、

所得税:【5,000万円 - (250万円 +1,500万円 + 100万円 )】×  15% =472.5万円
住民税:【5,000万円 - (250万円 +1,500万円 + 100万円 )】×  5% =157.5万円
合計630万円の税金となり、3年以内に売却することで300万円もの税金が節税できました。

先祖代々の土地を相続した場合など、相続した土地を売るのは簡単ではない場合が多いと思います。

しかし、もし「売る」のであれば必ず相続申告後3年以内に売るべきと言えます。

取得費に加算できる相続税の額

平成25年度税制改正により、相続した土地の取得費に加算できる相続税の額に変更があったので注意が必要です。

平成27年1月1日以後の相続については「その譲渡した土地に対応する相続税相当額」となっています。

一応、計算式を示すと
取得費に加算できる相続税  = その人の相続税✕(その人の相続税の課税の計算の基礎とされたその土地の価格÷その人の相続税の課税価格)となります。

式を見るとすごく難しそうですが、言葉で説明すると「実際に支払った相続税額のうち、売却した土地に係る部分の金額」ということです。

相続税をたとえ1億円払っていても、ほとんどが土地には関係なく現金や株を相続していた場合などは、加算額は少ないということですね。

専門税理士に相談をしたい方はこちら

相続した土地にかかる税率は?~取得時期はいつになる?~

上述したとおり、土地を売却した際の「所得税」と「住民税」の税率は

◇売却時点で5年超保有している土地 ⇒ 所得税率15%,住民税率5%
◇売却時点で5年以下しか保有していない土地 ⇒ 所得税率30%,住民税率9%

と土地の保有年数によって税率が大きく変わってきます。

では、相続した土地はいつ取得したことになるのでしょうか?
⇒相続した土地の取得時期は、死亡した人の取得の時期がそのまま取得した人に引き継がれます。

したがって、先祖代々の土地などは通常「売却時点で5年超保有している土地」として計算されます。
「相続した日 ≠ 取得した日」ですので注意が必要です。

土地売却についてより節税するための方法はこちら
>>「バブル時代に買った土地と先祖代々の土地を同時に売却する仰天節税プラン」

まとめ~相続した土地を売るなら3年以内に売却しよう~

以上、相続した土地を3年以内に売却することにより、税額が安くなることについて紹介しました。

あらためてポイントをまとめると

  • 土地を売却すると売却益に税金がかかる
  • 売却益は「土地の売却却価格 - (土地の取得費 + 譲渡費用)」で計算される
  • 相続した土地の取得費がわからなければ、売却価格 × 5%で計算される
  • 相続後すばやく土地を売却すれば、支払った相続税を土地の取得費に加算できる
  • 売却の期限は相続税申告期限後3年以内、つまり相続発生後3年10カ月以内
  • 土地の取得費に加算できる金額は「実際に支払った相続税額のうち、売却した土地に係る部分の金額」
  • 相続した土地の取得日は、相続日ではなく先代が取得した日となる

いかがでしたでしょうか。

先祖代々の土地を相続した場合など、相続した土地を売るのは簡単ではない場合が多いと思います。

しかしもし「売る」のであれば、相続申告後3年以内に売却し少しでも節税するべきです。

このサイトでは、「できるだけ早く相続税対策を実施する」ということを1つのテーマにしております。

相続が発生する前から、引き継いだ財産をどのように活用するかを見通しておくことができれば、今回のように、相続税だけではなく所得税や住民税までもが節税できてしまうのです。

土地を売却する必要があるときは早めに税理士に相談し、税金対策をすることがおすすめです。

以上、すこしでも皆さまのお役にたてれば幸いです。

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